今日の本酒俺 朝から冷たい雨 そしてみぞれの一日

今日も風呂あがりにブログを書きます。

yom yom (ヨムヨム) 2011年 03月号 [雑誌]

今日の風呂本は大好きな「yom yom」。発売したての19号は何と「春はノムノム」特集。もったいなくていっきに読む事はとてもできないのでちょびちょびちょっとだけ読みました。圧巻は筒井康隆さんの「呑酒日記」である。とにかく呑んでいる。大みそかから始まって息子さん家族も家に集合してるからまあ当たり前なのかもしれないが一日で大魔王とワイン4本とビール6本が空になるってすごいね。共感したのは米焼酎をどうもうまくないとおっしゃっていること(ごめんなさい好みの問題で他意はありません)「やっぱり芋はよい」。と「ななこ」という芋焼酎を改めてあけておられる。あと原宿と神戸を往復なさっているようだが、神戸でうまいものをめしあがってる。足赤海老とか猪とか「こういうのはこっちでしか食えない」とおっしゃっている味の関西びいき。こういうところもわかる。東京では豆腐とかを「うまい」とおっしゃっている。すごくその場その場に適応する方だ。そしていつも毎日呑んでいる。奥さまもワインをめしあがっている。夫婦で呑めていいなー。筒井さん大好きで酒はそれほどでもない某夫は「SF作家作家だから嘘でもなんでも書くんだよ」とか嫌なことをいう。お前はもう読む資格なし!読んでいるだけで幸せな気持ちになった。

この「呑酒日記」は対になっていて対する日記は川上未映子さん。おもしろい作家さんだとはおもうんだけど、ほとんど酒が飲めないらしくこういう方に書かせるってどうなんだろう。ちょっとつらそうな文面であった。でも驚いたのは、日本酒が「かなりおいしい」と思ってのむんだけどそのあと非常に体調が悪くなって、いつのまにか気を失っていて起き上がれずなんとか這って病院まで行って点滴されてなんとか生還したというエピソードである。俺みたいに一升のんでちょっと調子悪くなるわけではないだろう。そんなには呑んでいないのではないかと想像するんだけど「おいしい」と思ってるのにそんな風になってしまうのは体質のせいとしか思えずこんな仕事をもらってしまってなんとかしようというけなげさがかわいそうでならない。そういう本当に真面目なところが川上さんらしいといえばらしいのだけど、これははっきりいって編集部人選をあやまっているのでは?角田光代さんとか江國香織さんくらいにしとけば無理なく読めるのに。と思いました。あえての冒険であったのだろうが・・

それから続けて登場するのが野坂昭如さんの「酒とともにあった」です。これはなんというかさすがの安定感というか。どんぴしゃというか。涙なしでは読めません。さまざまな作家 三島由紀夫吉行淳之介 長部日出雄 田村隆一 丸谷才一 などの飲みっぷりを端正で簡潔な文章であぶりだす、素晴らしい随筆。また酒で勢いづく作家たちをいさめる編集者たちのことも少し書かれていて、「普段寡黙な人の方が修羅場に強かった」なんてこんな一行に「じん」ときてしまうんだな。野坂さんにとってあの頃の酒場は「今はもうない」そうなんだけど、そうなんだろうか・・俺たちの時代ならではの「そんな酒場」をつくっていきたいものです。そしてできたら野坂さんのような素敵なおじさまをご招待して一席ぶって頂きたいものだ。もうお体的にはだめなのかな。「黒の船歌」とかきかせて頂きたいものだ。それにしても俺の大好きな田村隆一さんはハンサムでコートを脱がないで呑んでいたそうだが、その下はパジャマだったそうだ。そんな格好で黙々とウイスキーを呑む・・なんてかっこいいんだ。「その存在は周囲を圧していた」と野坂さんは書かれている。5頁足らずの随筆であったが宝石のような一編。これだけ読むだけでも酒呑みにはこの1冊価値あり。ぜひみなさま今号の「yom yom」を。