箱根駅伝 大手町ー箱根 何とか歩く必ず吞む スタート

読売本社ビルってどこですか?」
「本社ビル?移転しましたよ」
がーん。12月も末におしつまったある日。ふらふらと俺は大手町の駅におりたった。以前からトライしたかった「駅伝―大手町から箱根まで全て歩く。そして時々呑む」のスタートを切るためだ。冬ならではの素晴らしい晴天。家にいる事が大好きな俺も誘いだすほどのいい感じに「俺はやるぜ」と布団の中で誓った朝だ。しかし実は大手町時点でもはや2時すぎ。起きてだらだら珈琲のんでごはんももりもり食べて、ついてくるとかついてこないとかぶつぶついっている某夫に「別にもういいよ!」といいすててでようやく昼すぎにでかけたのだがなぜか暗い目をしてついてくる男がいるのだった。「倒れそうな気がするから・・」ってなんだよ。別に頼んでねえんだよ。といいながら大手町までは約1時間半。横浜の田舎からは遠い・・
 そしてついたらついたで読売本社移転だ・・いったいなんだ?「あのー箱根駅伝のスタート地点にいきたいんですが」というとにっこり笑った駅員さん「C3の出口ですよ」とすらすら教えてくれた。きっと1月2日、3日にはいやになるほどきかれているに違いない。でもこんな時期はずれに尋ねる人はいるだろうか・・そう思いながらC3の出口をでる。
 大手町は久しぶりだ。はるか昔20歳の短大出たての乙女のとき、大手町のはしっこの広告代理店に就職した。橋をこえればもう神田という地点。どっちかというと大手町OLというよりも神田の恩恵をうけていた。考えればもうすでにあのときから酒呑みとしての道を歩きはじめていたのだった。かもとかあんこうが軒先にぶらさがる呑みやが密集している神田・・そこに吸い寄せられるように帰宅時通っていた日々・・大手町のかっこよさは全然しらなかった。そしてほぼ30年ぶりくらいに地下鉄からあがった大手町は眩しいほどのエリート街・・「どうだ!」っていってるようなビルたちが並んでいる。自分には全く関係ない雰囲気をまとった街だった。読売本社ビルは移転というか正確には改修中らしい。ビルのあっちとこっちとどっちの路地がスタート地点か今いちわからぬ。うろうろするあやしい二人連れ。多分広いほうがスタート地点だろうと両方うろうろしたあげくに判断して14時57分スタート!特に地図はもっておらず駅伝公式サイトからプリントアウトしたコースマップ一枚が頼り。主要な交差点名がかいてある。
 本社前から広い1号線に出て左折。すぐに書店の紀伊国屋があってびっくりする。小さな地図を買いました。なんとなく不安だったので。そこでレジで地図広げて今の位置きく。そうのって自分がレジはいってるときはとまどうものなのに、自分がやっている。紀伊国屋のお兄さんは親切でした。 

まあ地図買うまでもありませんでした。だって1号線まっすぐまっすぐだもん。俺に伴走するはずの男がなにやらレンガのビルによりそいすりすりしている。「このマテリアルが・・」なぜか建物のマテリアルが異様に好きなこの男、気持ちは一生わからない・・東京海上のビルらしいです。レンガが一個一個とびでているでこぼこビル。「このビルはいいなあ・・」すりすり・・勝手にしてろ・・


どんどん行くととても雰囲気のあるビルがま たでてくる。「ねえあれも好きなんじゃないの」「・・」無視。特に関心はないようだ。ロマンティックなデザインはまわりの無機質ビルと一味違います。明治生命ビル。重要文化財らしいです。ガス灯などもあり文明開化風。1934年にたったらしい。俺以外にも他2名の女子がデジカメぱちぱちしていた。



このあたりは和田倉門交差点。左に東京駅 右に皇居がみえます。東京駅は改修中で、もしみえてたらこれも名建築だったはずなのに残念だ。それにしても立派なビルばかり。このあたりを回遊する無料バスも走っているらしい。エリートたちはめぐまれすぎている!「こんなビルで仕事してる人ってボーナスいっぱいでるんだろうねー」伴走者に語りかけるもののまた無言の答え。人の語りかけを無視して
「おっ!おっ!もう機動隊でてるよ。駅伝護送すんだっけ?あ、天皇の新年あいさつ用か?」と突飛な声をだしている。一緒に本屋にいくと迷いなく軍関係の雑誌の棚にいきずっと立ち読みしている男だ。(しかし絶対買わないのも特徴)俺には全く目にはいらなかった機動隊の車がくっきりと見えるらしい。そして俺達同様に不審な動きをしている学ランの男たち3人組を発見。地図をみてはうろうろ。「あれは仲間だね」そう。確かに駅伝関係、応援団らしい。インタビューしたいものだが、何となのったらいいのかわかんないし残念だ。応援の策をいろいろ練っているらしい。頑張れよー。
駅伝らしい風景もかいまみえて満足。帝国ホテル、帝劇(ジャニーズ祭り花盛り)など立派なビルを次々左側にみながら進んでいく一号線。そして風景がかわっていく・・ビルがどんどん小さくなっていき明らかに酒ゾーンに・・西新橋交差点。「エクストラコールド!昼間から呑めます!」と直接すぎるメッセージ。アサヒスーパードライか・・暑いときはさぞ魅力的だったろうこの言葉。木枯らしふきずざむこの季節にはそろそろかえたほうがいいんじゃねえかい。俺の大好きな「HAPPY HOUR!」の言葉があちこちでおどるおどる!
やっぱこういう街がいいねえ。時間もいい感じにそろそろ4時近く。しかしもう少し、いくらなんでももう少し先にいかねば。と御成門交差点も抜けていく。歩道橋に箱根駅伝の交通規制のお知らせが。そうこのルートでいいんだよね。ところが思考が謎の男がここにきて「道間違ってんじゃないの?大丈夫?」と二度も繰り返す。あんなに大きく「箱根駅伝」って書いてあるじゃねえか!本当調子狂う。こういうのともう15年ほど同居・・俺もかなりおかしくなっているはず・・心配だ・・

日もだいぶ暮れてきた。この企画のルールは「日が暮れたら終わる」ということだったので、(まあ勝手に俺がきめたのだが・・)次の増上寺の交差点でそろそろ終わりにしよう。手元のコースマップによると増上寺交差点まで4,4キロ。平均所要時間(駅伝の)わずか12分ほど。走る彼らはエクストラコールドの文字なんて目にはいってないんだろうなあ。酒好きな選手はいるのか?いないだろうなあ。我々は1時間半は歩いてるんだよね。でもまあスタートがおそいこともあってほとんど疲れていない。試しの歩きだったけどまあ時間かければ歩けるかもな。箱根まで。次回は早く出発してせめて鶴見までいきたいものだ。鶴見では焼き肉狙いかなー。やたら派手な増上寺で年末におまいり。東京タワーを背後にしたがえ不思議な空間。正月にはどのくらいのひとがつめかけるのか・・巨大なさい銭箱にめまいを覚える。


おまけ
一応この歩きルールとして、最後に呑みやに入るというのがあります。あんなに新橋では溢れていた呑みやが芝にはとんとなかったです。なぜか立ち食いそばやが多い。多分参道にいけばいろいろあったのだろうがなぜかさみしい路地にはいってしまい呑みやを探すのに30分以上歩いた・・馬鹿だ・・やっとみつけたところは、おしゃれカフェ「CIRCUS」でした。ハイボール2杯のんでフィッシュ&チップス。おしゃれカフェなのになぜか謎のジャパニーズボーカルが大音響で流れていたのは残念だ。最近ハイボールを呑むことが多いのはメニュで一番安いことが多いからです・・。フィッシュ&チップスはボリューム狙いで頼んでみました・・日はとっぷり暮れた。そろそろ帰ろう。


おまけその2。
今日駅伝はじまってる中でこの記事かいてますが、出発点として写した場所が間違っていました・・うろうろして迷ったひとつ裏の路地が出発点でした。けさ某夫とじっとスタートをみて1号線に曲がる位置みてふたりで「あー!!!」とさけぶ。でもまああまり景色はかわらないのでかんべんしてください。